わりあい長い付き合いになるのに夏に会ったことのなかった先輩に、過日、夏の晴天の日に続けて二度もお会いした。むろんこれは嬉しいことである。いままでその先輩の服装のイメージはといえばYシャツ、それもきまって白い長袖のものに、暗いトーンのパンツ、ときどき薄いロングの上質そうなコート、すこしフォーマルなスニーカー、といった具合だった。彼は基本冬の凍てつくような寒さの日でも、白シャツ一枚で出かけるような男だった。それが近年薄いとはいえ一枚うえに羽織るようになったのだから、年齢のせいかたんに気が変わっただけなのかわからないが、ひとは自分のスタイルを変えられるんだな、と感慨を持った。その日は白シャツではあったが半袖だった。
個人的な相談のためにお会いしたのだが、同時に、すこし用事もあって清澄白河のほうまで一緒に電車で向かった。近くにスカイツリーが見える街を歩く。それほど高くはない建物が並んでいるこのエリアに、コーヒー飲む? 飲みましょう、というわれわれの会話が響く。閑静な、といえば紋切り型のようだけどそう言うほかないこのあたりにあって、お互い郊外に住んでいるふたりは、それでも小さいお店が立ち並んでいるのはそれだけ人が住んでたりよそから来るからだろうね、でもお店の入れ替わりも激しそうですよねと続ける。
ブルーボトルコーヒーの日本一号店という店舗に入って、まだ午前中ですこしお腹も減っていたのでアイスコーヒーとチョコクッキーを頼んだ。筆者はコーヒーの味の違いには疎いが、いろんなところで言われている通り酸味が強かった。
昼になってピザ屋に入った。ピーチティーも付いてきた。お腹が満たされた。
そして続けて2回目のコーヒー屋に入る。カフェラテを頼んで飲んだが、この時点でカフェイン過剰摂取気味だったのでもうその日はコーヒー類を飲まないことにした。飲み過ぎちゃいましたね、とお酒でもあるまいに先輩がささやいた。筆者は酒類を飲まない。先輩は帰りにさらに別のコーヒー屋に入っていった。
翌日も朝方用事が済んで先輩と会った。彼の最寄駅で会うことになった。お昼を食べようとマルイのおひつごはん屋に入った。海鮮・おひつごはんを頼んだ。あ、おひつから直接食べちゃってた。べつにいいと思うよ、お茶漬けにしてこれから食べよう。この日は元首相が銃殺されるという事件が起こった。夜、大変な一日になってしまったけど今日はゆっくり休んでくださいとメッセージが来た。ありがたく思い、返信し、すこし動揺している気持ちを抑えながら布団に入った。
なんということはないある日のことを綴ったが、ちなみに、このポストのタイトル「晴れた日」は、篠山紀信の写真集『晴れた日』(1975)を思い出して付けた。雑多な種類の被写体をパキッとしたタッチで撮った、篠山の初期代表作だ。2021年には東京都写真美術館で「新・晴れた日」展が開催された。ふだん過ごしていて、本のタイトルから記憶が喚起されることはよくある。シンプルで力強い「晴れた日」というタイトルを、先輩と会ったこの2日に付けたい。