うどん二郎のブログ

95年生/横浜/写真

2024-01-01から1年間の記事一覧

懐かしさ、麻薬みたいに

ある場所で何かを思い出すとき、その時点からあれこれ迂回して連想でほかのことまで思い出して懐かしさにひたってしまうので、気づけば思い出している〈いま〉の時間はすこしずつ進んでいて、ある意味これはいい暇つぶしになるものだなと思う。というのも、…

見るときについて

眼は、いつでも思った時にすぐ閉じることができるようにできている。 ーー寺田寅彦『柿の種』 写真を見るとき、たいてい目の前にその写真に写された風景はない。だから「窓」として写真を捉えるにせよ「鏡」として捉えるにせよ、写真の画面は目の前の風景と…

動物たち

N夫人ふわりと夏の脚を組む 坪内稔典『ぽぽのあたり』 こんな官能的な瞬間もついに訪れない初夏だった。代わりに何をやっていたかというと近所の動物たちを撮っていた。まとまった文章を用意しようかとも思ったが、あまり筆が乗らず資料を集めるだけに終わっ…

横浜海上いらっしゃいませ

横濱や無人のぶらんこを愛す 永島靖子『眞畫』 23年の終わりから24年春まで。横浜で気ままに遊んで、その地で撮った写真を並べる。大黒PA、金沢八景、磯子・海の見える公園、本牧、シネマ・ジャック&ベティ(黄金町)、江田、家の近所……。澄んだ空気にはしゃい…

テニスーー小さな賭けと確実さについて

高い天空には小さな球体が宙に浮き、そこは黄金の鞭で快音響く一撃を加えようという特別な目的で彼女が作り上げた、力と美にあふれる小宇宙なのだ。 ーーナボコフ『ロリータ』 スコットランド出身の元世界トップテニスプレーヤー・アンディ・マレー(シングル…

ゆっくりした時間

ひとつの時間の中にあって幾億も重なる昼と夜 ーー小沢健二「ブルーの構図のブルース」 朝、行きのくだりの坂道から思う些事を帰りの電車で思い出して書き留めるまで、半日以上の時間が流れているはずなのだが、あたかもその半日以上の時間は身体から切り離…