うどん二郎のブログ

95年生/横浜/写真

総天然色の鈍くて粗い春

 

ひとまずうっとうしいあの黒くて重い箱を持ち歩くのに疲れたときに代わって持ち出されるのはだいたい使い捨てカメラだろうけれど、だからその時点でものごとを「精細に」撮るということはなかば諦めなければならなくて、ここに連なるのはもっぱら感覚的に鈍くて粗いニュアンスの写真ばかりということになる。でも横浜、町田、高円寺なんかの、言っちゃ悪いが撮るほどでもないものを瞬間的に撮るには、1986年に初代が発売されてからそこそこの歴史を持つ富士フィルム製の小型カメラは役に立った。謳い文句の「レトロ」も「アナログ」もそれが主流だった頃の記憶などないから、いまや無い過去を妄想するほかないけれど、しかしどの写真もつねに、プリントされて手元に来た瞬間が最も新しい。

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